第2回 結婚30年目の[人生相談]にどう回答するか?

 [人生相談]ほど、〝思考〟の〝遊具〟に適したものはありません。

   迷っている人や困っている人の[人生相談]を遊びに使うとは、何事か!

 

  (冒頭から)アチョー!

 

 非難、叱責、炎上を覚悟の上で【思考遊戯】を続けます。

 まず、相談者が何を求めているのか、相談の焦点を確認します。

 その上で、文面からは読み取れない部分にも気を配って、相談者の心情に寄り添いながら、例えば公的、法的、もっと言うなら、常識的な具体的解決策を提示します。

 あるいは、相談者が捉われている考え方、視点を変えます。これには、相談者の心得違えを叱る、という少し過激な方法もあります。断定的な一喝が、迷いのある人には却って効果があるように見えることもあるようです。ただし、自分の一面的な価値観に縛られて、「これは~するべきだぁ~!」と、己の正義を振りかざすのは、控えたほうがよろしゅうございましょう。

 以上が、世間で使われている[人生相談]の回答手法のようです。

 不謹慎な物言いになりますが、そうした手法を使って誰かの[人生相談]に回答するのは、面白い。

 

  アチョー!

 

 また、他の誰かと意見を交換すると、もっと楽しくなるかもしれません。 

 

  アチョー!

 

 では、新聞や雑誌に寄せられる、次のような[人生相談]には、どのような回答が考えられるでしょうか?

 

〔結婚して30年になります。夫は定年退職したら、ゆっくり旅行にでもいこう、と

 言っていますが、私はうれしくありません。

 夫とは見合い結婚で、子どもを授かることはありませんでした。

 ずっと夫の言うままに一緒に暮らしてきたのは、一人で生きていく自信がなかった

 からです。

 先日、ばったり会った高校時代の同級生とお茶を飲んで話していたら、「あなた、

 もしかしたら、自分の人生が無駄だったのではないかと思ってない?」と言われて

 どきっとしました。

 夫は、ビジネスの最前線で生きてきたような人で、決して無駄を許しません。私も

 生活に無駄がないようにしてきたつもりでしたが、そうやって生きている私の人生

 そのものが、実は無駄だったのではないかと、内心、思っていました。

 私の人生は無駄だったのでしょうか?

 私は、これからどう生きればいいのでしょうか?

                              (五十代女性)〕

 

 「私の人生は無駄だったのでしょうか?」という問いには、もちろん、「無駄ではありませんよ」という回答を相談者は求めているのでしょう。ただ、相談者の焦点は、「これからどう生きればいいのでしょうか?」という点にあります。

 この相談に対する回答を新聞や雑誌に掲載するなら、どのように書けばいいのでしょうか?

 ちなみに、この相談はワタクシの捏造、でっち上げたものです。よって、実在の人物、団体とはまったく関係ありません。

 

  アチョー!

 

 さて、人生相談に回答するためには、回答する者に何が必要なのなのでしょうか?